プロダクションノート

あれから2年―、「-結び-」がついに始動!

『ちはやふる-下の句-』公開初日の舞台挨拶で、突如発表された続編製作。キャストに対しては完全なサプライズ発表だったため、登壇した役者陣は一様に驚きを隠せず、特に主演の広瀬すずに至ってはその場に座り込み号泣するという異例の事態に陥った。
「あの時のことは正直、よく覚えていません。とにかくすべてが夢みたいで、少し時間が経ってから“またこの皆とやれるんだ!”って、ようやく実感がわいてきました」(広瀬)。
実は『上の句』『下の句』の撮影時は、「続編製作は全く想定していませんでした」と語る小泉徳宏監督。「だから原作の“いいとこどり”というと極端ですが、映画に引用した(原作の)エピソードは素晴らしい部分ばかりだった。自分としては全部出し切った気持ちだったので、続編が決まったと聞いた時は正直“どうしよう!?”と思いました(笑)」。本作の企画を立ち上げた北島直明プロデューサー(以下、北島P)も「フルマラソンを全力で走りきった監督に、もう一度最初から走ってくれと言うようなものでした」と苦笑い。加えて続編の運命として必ず立ちふさがるのが、「前作を超えるものに」という更なるハードル。脚本作りも前作以上に試行錯誤を繰り返すことを余儀なくされた。だが『上の句』『下の句』を経て、原作者=末次由紀の確固たる信頼を得ていた製作陣。「すでに終わっているエピソードではなく、先生から直接今後の展開を少しお聞きして、そこから“こうなっていけばいいな”という希望や予想も含めたストーリーを脚本に入れこんでいったんです。リアルタイムで連載を読んでいく中で、“予想と全然違った!”と慌てて書き直すこともありましたし、“予想していた通りだ!”と喜ぶ時も。そんな一喜一憂を繰り返しつつ、最初から脚本をひっくり返すこともありました」(小泉監督)。こうして練りに練った脚本がついに完成し、2年の月日を経て最後の『ちはやふる』が動き始めた。

出演者全員にとっての代表作「ちはやふる」。

メインキャストは全員続投が決定。
前作から「リアルな高校生に近い年代の若い役者を起用したい」というポリシーのもとキャスティングされた彼らだったが、主演の広瀬を含めて当時は今後が未知数な新人俳優ばかり。それが『ちはやふる』公開以降の2年間で大躍進を遂げ、彼らの環境は目まぐるしく変わっていくことになった。
「前作を撮りながら思っていたのは、『ちはやふる』そのものが彼らにとっての部活であり青春なんだなということ。この2年で彼らも実際2歳年を重ねましたし、(広瀬)すずも進級し、さらに高校を卒業しました。そういう意味でもこの作品は、彼らのドキュメンタリーに近いんじゃないかと。もちろん役を演じてはいますが、彼ら自身の成長の記録でもあるような気がしました。僕としてはもはや、部活の顧問のような気持ちですね(笑)」(小泉監督)。
本作が記念すべき初主演作となった広瀬は今や話題作への出演が途切れない女優となり、若手人気俳優の筆頭格となった野村周平と新田真剣佑の現在の活躍にも目を見張るものがある。
瑞沢かるた部メンバーの上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希も着々とキャリアを積み、『下の句』で強烈な存在感を示した松岡茉優も主演を張る女優へと成長した。そんな中、『結び』では4人の新キャラクターが登場する。「結果的に『ちはやふる』が若手俳優のステップアップのきっかけになってくれたことが、何よりも嬉しかったですね」(北島P)。『結び』でも多くの若手俳優が参加した大規模なオーディションから、瑞沢かるた部の新入生2名を選出。
前作同様「役のエッセンス、ニュアンスを持っている人を選びたいので、最初は役を決めずに自由に芝居を披露してもらう感じ。
そこからどの役に合うか考えていきました」(小泉監督)という方針は変わらず。太一に一目惚れして入部するという女子力全開の菫に優希美青、ひねくれた自信家の筑波に佐野勇斗という若手注目株の2人に白羽の矢が立った。そして「オーディション時からとんでもない逸材だとは感じていた」(小泉監督)という清原果耶に関しては、伊織という初の映画オリジナルキャラクターを用意。前作で新田が福井県でかるた修行したのと同様に、清原も福井に赴き、福井かるたのイロハを叩きこまれた。また今回太一と行動を共にするかるた界のレジェンド=周防名人には、コミカルからシリアスな演技まで幅広い芝居を魅せる賀来賢人にオファー。野村と賀来は、『森山中教習所』(16)で共演経験があったことも嬉しい偶然だった。
他にもかるた部の顧問=宮内先生には松田美由紀、千早と太一の師匠であり、前作で心に沁みる名言を残した原田先生には國村隼というベテラン勢も揃って続投。最強の豪華キャスト陣が揃うことに。